社会人スタート
養成所の卒業式を終えると、
その足でそれぞれのエリアの事業所へ。
私は関東エリアの仲間と一緒に
品川か東京で新幹線を降り、
車内に残った東北エリアの同期達と別れました。
事業所では簡単なオリエンテーションがあって、
翌日からは所属の楽器店で勤務が始まりました。
私は2カ月ほど、新人研修として
音楽教室の生徒募集などの経験をさせていただいてから
「ピアノ技術課」という、調律師の部署へ
無事配属となりました。
調律学校の同期の中には
調律以外にもお店の当番や
音楽教室の受付になったりして、
なかなか調律ができない人もいたようですが、
私はありがたいことに、ほぼ毎日3件、
お客様のお宅を回らせていただいたり、
音楽教室のピアノや店頭品の調律、
また時間外にピアノに向き合う時間も
いただくことができていました。
とある先輩が
事務所で他の方とお話しされていて・・・
ピアノのタッチとは、
音をイメージして
それを弾こうと行動を起こして
実際に音が出て
それを脳が判断するまでのことだ
・・・それを聞いて、
当時は「そうなんだ~」程度でしたが、
時を経るにつれて、当時この言葉を聞けたことが
本当にありがたかったと感謝しています。
それでも未熟さの余る社会人1~2年目、
不満ばかりが溜まっていき
私はこの会社を1年11カ月で辞めることになります。
「1年11カ月」というのは、
2年目から退職金の対象だとのことでしたので、
その前に・・・と自分なりに気を遣ったつもりでした。
今でこそ、もっとあの環境でできることがあった、
あの場所でしかできないことがあった、
生意気で扱いにくい新人だった、と反省もあります。
事務仕事の手を止めて、
目を見て、質問や話を聞いてくださった上司や、
お疲れなのに、帰りの中央線を何往復もしながら
愚痴を聞いてくださった先輩には
感謝しかありません。
そして、この会社にいらしたある大先輩が、
メーカーを背負って
国際ピアノコンクールで戦い続けていらした頃のこと、
イタリアの調律師さんのこと、
また色々なピアニストさんのことを
よくお話ししてくださって、
まるで神々の世界のことであるかのように
遠い世界に感じていましたが、
仕事を始めたばかりの頃に
「神々の話題」に触れられたことで、
その後、何を見聞きしても
「こんなもんじゃない、まだ先があるはずだ」
という潜在意識を埋め込まれたというか、
青天井を初期設定されたというか、
それがこの先の「迷い」にも繋がってくるのですが、
強く大きな刺激と影響をいただいたことに
変わりはなく、感謝しています。
『イタリアの調律師さん』のホームページの
ある動画の冒頭に、調律のシーンがありますが、
調律学校で配られたものによく似た
チューニングハンマーが映っています。
↓このページの右下です
イタリア語なので、何をお話しされているのか
全く分からないのが残念です。
https://www.fabbrini.it/index.php?id=120
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